[社会心理学]わたしは何者なのか? 若者だけのテーマなのか?No.2

わたしは何者なのか? 若者だけのテーマなのか?No.2
―社会心理学からみる“わたし”―

 前回、社会の中での自己とは何か、どのように確立するのか、なぜ“私は何者なのか?”が青年期だけの問いではないのかについて言及した。今回は、社会の中にいるわたしにどのような危険があるのかについて言及していく。

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― 社会比較の弊害:私たちはどのように自分を評価するのか。

・自己奉仕バイアス:自身の得た成功と、犯した失敗に対する評価。多くの場合、成功は自身の手柄にするが、失敗は他人のせいにするという人間の自然傾向のことを指す。

・非現実的肯定感:実際に物事が上手く進んでいないとしても、過度に肯定的に状況をとらえること。正確な判断を下すことが出来ず、軌道修正に困難を生じることもある。

・平均以上効果:人間一般の自然的思考傾向。多くの人は、自分は平均より出来る、平均以上に物事を熟せると信じている。これは事実に反する場合がある為、正確な自己評価に繋がりにくい。

・否定的フィードバックの無効化:正当な評価の際に与えられる否定的なフィードバックを受け流し、肯定的な側面のみに焦点を当てる。

 このように、多くの人は自分に都合の良い、利益になることを選択する傾向がある。これは、自尊心が傷つくのを避けるため、また肯定感情を維持するうえでは必要なことではあるが、社会での正確な自己観を曖昧にしてしまう危険もある。

― 自尊心:自分自身に対する態度

・自尊心の測定法:Rosenbergの10項目の自尊感情尺度。自尊心と自身の生活態度や生活習慣、精神的傾向などについての10項目を採点し、評価する。

・ポジティブシンキング:困難な状況でも肯定的に物事を捉えること。また、その様なときにも、上手くいく、成功するなど自己肯定感を高めること。とりわけ、アメリカ文化で勧められている。肯定的でいることが美徳とされる。自尊心の高い人のポジティブシンキングはパフォーマンスのさらなる向上、自尊心の低い人のポジティブシンキングは肯定感情の上昇と精神的生活水準や満足度の向上などが期待される。

・移民と幸福度:困難な状況に直面している移民へのサポートは幸福度の向上につながる。自己効力感を強め、自尊心を高める。

・自己効力感:自分のいる環境において、自分なら出来る、乗り越えられるという肯定的な信念を持つこと。

・移民の永続的移転とその効果:Lonngvist et al. (2015) によると、移民の自尊心は一般的な人に比べ減少傾向にあるという。このため、社会的支援と自己効力感が移民の自尊心向上に非常に重要となる。

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― 自尊心と男女差

・男女間で自尊心に違があるか?:男性の方が、自尊心が高い傾向がある。これは歴史的、社会的に社会的地位が高かった歴史に準ずる。

・差別と自尊心:排他、けなし、軽蔑、統制への脅威感情が自尊心を傷つける。恵まれない立場のグループに対する心無い態度や差別が自尊心を減少させる。

― 偏見の対象としての自己

・アイデンティティと否定的扱い:異なる多様な、性的指向、精神的・身体的障害、肥満、健康状態に対しての偏見が見られがちである。

・アイデンティティの秘密化:他者からの否定的な扱われ方を避けるためにアイデンティティを隠す。これは、精神的重大な重荷になりうる。自尊心を低下させ、精神的苦痛に変える。

― 固定観念脅威の効果の克服

・固定観念脅威:社会的アイデンティティへの脅威。他者からの無用な判断を見込む。否定的な固定観念によって、社会一般がそれを認知しているだろうという不安を抱く。

・生活への影響:集団内での不安症。ある人は不安症であることを嫌がる。また、不安症であることを認識しようとしない。治療が遅れ、自尊心や精神的肯定感情にひびが入る。

・固定観念脅威の対象:歴史的に軽視されてきた特定の集団。また、男性。

 このように、私たちが社会で自己を確立するためには、多くの脅威が存在している。私たちは多くの場合、私たちが何者であるのかを隠さなければならない困難な状況に直面しているのである。これによって、私たち自身から見た自己と、他人から見た自己は一致しないのである。自己を主張することは非常に大切であるが、自己を保護することも、自尊心を見えない社会的脅威から守り、維持するのに必要なことなのである。

執筆日2019年6月14日 執筆者Yoshi
6月29日編集・校閲

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