[発達心理学]生後三歳までの心理社会的発達 No.1

発達心理学と新生児 生後三歳までの心理社会的発達 No.1
― 心理社会的発達の概要と感情の発達―

 以前、生後三歳までの認知発達について大まかに言及したように、今回は生後三歳までの心理社会的発達について見ていく。心理社会的発達とは心理的、社会的な行動、思考、感情、発達についてであり、生後三年目までに幼児がどのように、どのような感情を育み、持ち合わせていくのかに焦点を当てた分野である。

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― エリック・エリクソン

 ドイツ系アメリカ人の発達心理学者、エリック・エリクソンは人間の生から死の間について心理社会的理論を説いた。その理論の一番初めに当たる生後3歳までの新生児について、エリクソンは基本的な信頼感 対 不信感と分類化した。生後1歳から18か月の間に幼児は希望の美徳 (Virtue of Hope) を自然的に備えているという。これは、保護者の態度、行動の質、思いやりと愛をもった世話の良いバランスに対してである。また、生後18か月から3歳までの幼児を自主性 対 恥と疑いと分類した。この期間では特に世話に手のかかるとされる、魔の2歳児、いやいや期に直面する。しかしながら、自主的行動を制限したり、責めたりするのではなく、機会や手引きを示してあげることで、失敗することに対する恥は強調されないのである。

― 感情の発達

 基本的感情は、幸福、興味、驚き、恐れ、怒り、悲しみ、嫌気である。これら基本的感情を備えつつ、生後2か月、6-10週目に社交的微笑を始める。また、生後3-4か月程度で笑い始め、生後4-6か月後では怒りと恐怖の感情を出し始める。興味深いことに、生後8-10か月ほどで予期的微笑を始める。これは、一旦対象物に対して微笑み、その後笑顔を見せながら大人の方を見ることである。これは、笑顔を示すことが適切なタイミングであるかどうか、大人の反応を見て、自分の示した笑顔がその状況で正しかったか確認し、社会に順応するためであるとされる。この時期の幼児にとって、感情を真似したり、確認したりするために、一番近くにいる保護者、多くの場合母親の存在が非常に大切である。この時期に、例えば母親が陰鬱は状態、あるいはうつ病である場合、幼児の感情の発達を妨げ、肯定的感情の出し方を学べず、否定感情を生育と共に肥大化させていく恐れがある。

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― 自己意識の感情

 生後15-24か月程度になると、自己意識の感情を抱き始める。自己意識の感情とは主に、“恥”“妬み”そして“共感”である。何かを失敗してしまったときに恥ずかしさを感じ、顔を手で覆ったり、失敗を隠すための行動を起こしたりする。また、自分にないものをもつ他者に対して嫉妬心を抱く。しかし、同様に困っている、悲しんでいる他者に対して共感の気持ちを向けることもこの年齢から始まる。さらに、3歳ごろになると、自己認識能力が強まっていき、社会的に受け入れられる基準の行動を選択しとっていくようになる。同時に、自己評価感情も芽生え、自我をより強めていく。自己評価感情は主に、“プライド”“罪悪感”そして“恥じらい”である。ここでは、自己評価感情の適切な尺度が理解できず、過度にこれらを感じ、自己ないしは他己に対し危害が加わる可能性がある為、大人の指導が必要不可欠になる。

― 生後3年間の感情

© 2012 by the McGraw-Hill Companies, Inc
 生後6か月までに、満足感は喜び、興味は驚き、苦悩は悲しみや嫌気、さらに怒りや恐怖に変容していく。これらの感情は2歳半ばを過ぎると、自己言及行動の中から自己認識を確立していく。また同時に自己意識感情を抱き始める。2歳半から3歳で基準とルールの獲得と保持をする。同時に、自己評価感情を備え付けていくのである。

 このように、私たちが抱き、統制を困難に感じるだろう基本的感情は、生後3年目までで獲得されるのである。これらの感情は、環境の変化やあり方により大きく左右されるため、保護者は幼児の精神的、感情的発育に対して観察をする必要がある。次回は、幼児と母との結びつき、愛情の大きさによって、どのような心理社会的な変化をきたしていくのかについて詳しく説明していく。

執筆日2019年6月15日 執筆者Yoshi
6月30日編集・校閲

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