[発達心理学]生後3才までの脳の発達 認知発達と発達心理学 No.2

生後3才までの脳の発達 認知発達と発達心理学 No.2
―心理測定アプローチ―

 前回の新生児から幼児の行動と脳内情報処理に次いで、今回は幼児の心理測定による認知発達について言及していく。主に、認知発達の評価と発達段階の特徴についてである。

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・心理測定アプローチ (Psychometric Approach)

― ここでは主にIQテストを用いて幼児の認知的発達や能力を測定・推測する。
ちなみに、IQとは、Intelligence Quotientの略称であり、幼児の発達に関するIQ テストは、DQ (Developmental Quotient) とされる。
 DQは主に生後6か月から1歳の幼児が対象であり、順化、視覚認識記憶、注意力回復能力に対するスクリーニング検査をする。
 また、Bayley Scales of Infant and Toddler Development-III (Bayley乳幼児発達検査) は、主に1歳から3歳半までの乳幼児に対して行われ、現在の発達状態を検査するものであり、将来のIQ、知的指数や身体能力を推測するものではない。検査の基準として、認知、言語、運動、社会感情、順応行動の観点で観察される。これらは、メンタルスケール、モータースケール、行動訓練スケールを基準指標として使われる。

― HOME (Home observation of the environment) – 養育環境評価HOME

 この評価基準は、子どもが健やかに養育されるために家庭環境を評価するものである。
 評価基準は親の責任感、家庭にある本の冊数、そして教育目的のおもちゃの所在である。

― 感覚的運動期

 スイスの心理学者、ピアジェは誕生から2歳までの幼児を感覚的運動期と分類化した。
 感覚的運動期では、主に以下が発達していく。
・スキーム (Schemes):これは、計画だった枠組みのことを示し、様々な物事を理に適うように考えるために必要とする。
・順応性 (Adaptation):新しいスキームを構築していく。
・同化 (Assimilation):現在所有しているスキームを使用する。
・適応 (Accommodation):スキームを新しい状況に適応させる。
・組織 (Organization):スキーム同士を繋げる。
・循環反応 (Circular reactions):スキーム間に起こる反応。

― ピアジェの感覚的運動期

サブステージ 年齢(月) 説明
反射神経 生後1ヶ月 反射神経以上に運動筋肉の制限力が増す。
一次循環 1〜4ヶ月 楽しい行動を繰り返す。例:指をしゃぶる。
二次循環 4〜8ヶ月 興味深い行動を繰り返す。
同格二次循環 8〜12ヶ月 故意に、意図的な行動をする。
三次循環 12〜18ヶ月 好奇心と実験的行動。
精神的結合 18〜24ヶ月 象徴的思考と洞察。
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― 対象の永続性 (Object Permanence)
 物体が視界から消えても、それは視野の外に出ただけで、物体自体は存在し続けていると認識すること。
・対象の永続性と段階
 生後8か月以前:もしおもちゃを落として消えてしまったら、おもちゃは無くなってしまう。この理由から、新生児から乳幼児にとって、“いないいないばあっ”はとても楽しい。
 生後8-12か月:誰かがおもちゃを隠したと思ったら、最後に自分が見た場所のみを探す。
 生後1年以降:誰かがおもちゃを隠したら、様々な場所を探す。

・動的システム理論 (Dynamic systems theory/Esther Thelen)

 歩行、走行に必要な筋肉や筋肉間の協調がどのように獲得されていくのか解明する研究。これは、赤ちゃんが知っていることを研究するのではなく、赤ちゃんが行うこと、そしてなぜそのように行動するのかについての研究である。

― 表象的思考 (Representational Thinking)
・視覚的想像能力 (Pictorial Competence):およそ生後19か月ほどで発達する。絵画自然性を理解する能力。例えば、太陽の絵を見ながら、“たーよー”というなど、絵に描かれているものが何であるか理解する。

― 二重表現仮説 (Dual Representation Hypothesis)
・視覚的想像能力はゆっくり発達していく。それは心理的に“絵”と“絵の表している物体”を同時に理解、表現するのが難しいため。

― 情報伝達 (Information Processing)
・分類化 (Categorization)
• 知覚的分類 (Perceptual Categorization):物体がどう見えるかが基本となる。ここでは、鳥や飛行機は同じ“翼”を持っているため、同じく分類される。
• 概念的分類 (Conceptual Categorization):物体がなんであるかが基本となる。ここでは、椅子、机、ソファーはすべて“家具”という概念として分類される。
・因果関係 (Causality)
1つの事柄が他の事柄も引き起こすことを理解する。これを獲得することにより私たちは自分たちの世界を予測したり、制限することが可能になる。この能力はメリーなどの動くおもちゃを操作することで生後6か月ほどで発達する。

― 期待への裏切り (Violation of Expectations)
フェーズ1 慣れ (Familiarization):幼児が事態を自然に観察する。
フェーズ2 期待への裏切り (Violation of Expectations):今まで起きてきた過程を裏切る事象が起こる。
この際に、幼児は予期しなかった事象を長く見つめ、観察し、変化を理解しようとしている。

― 認知脳科学 (Cognitive Neuroscience) と記憶の種類
• 顕在記憶:意識的、意図的記憶。例)事実、名前、イベント
• 潜在記憶:無意識に呼び起こされる。例)習慣や技能など - 過程的記憶
• ワーキングメモリ:活発な短期記憶。

― 数字
 5つのぬいぐるみを赤ちゃんに見せて、その後スクリーンの後ろで2つ足すまたは引いたあと、再び赤ちゃんに見せると、変化や違いに気づき、そこを長く見つめる。

 今まで見てきたように、幼児は新生児から乳幼児の数年で、私たち成人が日常意識なしで自然に行っている動作を学び、獲得するのである。まさか、ここまで考えていないだろうと私たちが思い込んでいることも、幼児たちは知らない間に学習しているのだ。では、一体言語はどのような過程を経て獲得されていくのだろうか。次回、詳しく説明する。

執筆日2019年6月11日 執筆者Yoshi
6月25日編集・校閲

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