[臨床心理学]人格障害とは? ざっくりまとめてみた

人格障害についてざっくりまとめてみた

 心理学の世界,とりわけ臨床心理学と呼ばれる分野では「障害」という言葉は「日常生活に支障をきたす状態」を指します。この障害と呼ばれるものの中でも,先天的か後天的かという区分により治療法や障害とのかかわり方は大きく異なっていきますが,ここでは先天的な影響や,生育の状態などの影響により症状が現れていく人格障害について解説していきたいと思います。

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人格って?

 そもそも人格とはPersonalityという言葉に対し当てられた日本での呼び名を表しています。そもそもpersonalityの語源はラテン語で仮面を表すpersonaという言葉が由来と言われていますが,人間として生活を営む上での個性であります。またこの人格は生まれたころから育まれる木のようなものであると理解してください。人間は生まれたころから遺伝子的な個性や育ち方,様々なものに影響を受け人格という木を成長させていきます。中には社会生活を送るにあたって望ましいとされる人格もあれば,(現代における)社会生活を送るうえで望ましくないという人格もあります。この社会生活を送るうえで,大きな支障をきたす人格のことを「人格障害(personality disorder)」と呼びます。人格障害はそれぞれの特性別に以下の3つのグループに分類されています。

Aグループ:独自の世界を持つグループ

 このグループには「妄想性パーソナリティ障害」「シゾイド型パーソナリティ障害」「統合失調型パーソナリティ障害」の3つが当てはまります。
 妄想性パーソナリティ障害では,いわゆる被害妄想を顕著に抱える人格障害であり,他者からの視線に対し過敏に反応します。例えば「他の人から私は悪く言われている」「あの目線は私のことが嫌いだから馬鹿にしているんだ」など自身に対する妄想を抱き,自身の妄想で自身を傷つけ苦しむことになります。
 
 一方シゾイド型パーソナリティ障害とは逆に他者へ関心を向けず,その関心を自身の内部の世界へと向けます。一人でいること,つまり自分の世界にいることを好み,他者からの干渉に対し嫌悪感を抱きます。
 
 これらとは異なり,統合失調型パーソナリティ障害では自身の人格の統合性,つまり人格が様々に形を変え,それらに一貫性がない状態(統合が失われている状態)となります。時には幻覚や幻聴などの症状を現れ,一人での会話や支離滅裂な言動(破瓜症状)を表すこともあります。また以前は精神分裂病と呼ばれていた時期もあったように,まるで人が変わってしまったかのようになるケースもみられます。(現在では精神分裂病とは呼びませんので注意してください。)Aグループは「変わった人」と称されるケースが多く,周りから奇異の目で見られるケースがありますが,本人の中ではそれは変わったことではなく,当たり前のこととして認識されています。

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Bグループ:感情の起伏が激しく衝動性の強いグループ

 BグループではAグループと違い,世界の中心に自身を置きますが,その自身を支える重要な事柄として他者の存在に重きを置く傾向にあります。「反社会性パーソナリティ障害」では周囲の気持ちや規律等を気にせず,自身の衝動に身を任せ暴力行為や犯罪行為をする傾向にあり,いわゆるサイコパスと呼ばれるものと類似していると言われています。
 「自己愛性パーソナリティ障害」では,2つの種類に分けられます。1つは,自身は崇高で偉大なものであり,自分を敬わない者に対し攻撃的にふるまうとされる誇大型。もう1つは過敏性と呼ばれ,誇大型とは逆に自己への評価が限りなく低く,他者からどう見られているか?といった評価が大きなウェイトを占め,悪く見られないように自己を犠牲にしてまでふるまう傾向があります。
 
 他者からの評価を得たり,注目を浴びるために自身を偽ったりする症状を表す人格障害を「演技性パーソナリティ障害」と呼びます。また中には他者からの同情や注意を引くために自傷行為などをする「ミュンヒハウゼン症候群」や,自分の子どもなどをあえて病気にすることで可哀そうな自分を演じる「代理ミュンヒハウゼン症候群」と呼ばれる精神疾患を併発するケースも多々あります。
 
 Bグループ最後に紹介する「境界性パーソナリティ障害」とは,俗にボーダーと呼ばれる人格障害で,感情の起伏が激しく強い不安感に悩まされ,その感情をコントロールすることが難しいとされる障害です。例えばさっきまで大好きだった恋人に対し強い嫌悪感を抱いたり,見捨てられるといった不安感から嫌な感情を抱いていた人でさえ好意を抱いたりすることもあります。また「自分」というものが非常に不安定であり,そのアンバランスな自己像に苦しむ傾向が強く現れます。
 
 このBグループでのキーワードは「自己愛」です。自己愛とは文字通り自身を愛する傾向のことを指しますが,このBグループは自己愛が非常に高いor非常に低く,自身を保つために不適切な行動をする傾向にあります。Bグループでは自分のために他者を操作する傾向があり,社会生活の中では魅力的な人,素晴らしい人称されることもあります。

Cグループ:強い不安を抱えるグループ

 Cグループでキーポイントになるのは「不安」や「恐れ」,そして低い自尊心です。この不安や恐れに対し,低い自尊心をなんとか保つために行動し,結果として不適応な行動をしてしまうパーソナリティ障害がCグループに分類されます。
 
 まず解説するのは「回避性パーソナリティ障害」についてです。回避性パーソナリティ障害とは,不安や恐れなどを感じる場面に遭遇した際,その場から逃避しやり過ごそうとする傾向にあります。また自尊心が低い傾向にあり,他者から批判を浴びないように行動した結果として引きこもり行動などを引き起こす傾向にあります。
 
 次に紹介する「強迫性パーソナリティ障害」では自身に対し強い劣等感を抱き完璧でなければならないという強いプレッシャーを与え,結果として抑うつや自傷行為などを招く障害になります。いわゆる病的な完璧主義であり,「テストで100点を取らなければ何の意味もない」や「失敗することは決して許されない」など自身に高いハードルを課す傾向にあり,その自身の課したハードルを越えること以外許されないなど,融通が効きづらいことも特徴の1つです。
 
 最後に紹介するものは「依存性パーソナリティ障害」です。これは文字通り強い不安感から,何かに依存していなければ自分自身を保つことができない症状を主症状とします。例えば恋人に強い依存傾向を示し,恋人の帰りが遅くなっただけで強い浮気への疑いや振られるのではないかという不安感から恋人の行動を束縛したり,別の依存対象を探すなど不適切な行動をとってしまうなどのケースがあります。

まとめ

 パーソナリティ障害は,遺伝的要因や幼少期の虐待経験,恐怖体験やいじめ被害など本当に様々な影響を受けた結果としての症状でもあると言えます。これらのパーソナリティ障害について今一度考えてほしいこと,それは治療とはなんなのか?ということです。うつ病やパニック障害など今までなかったこと(症状)が現れたから治療するといったこととは違い,あくまでパーソナリティとは生まれてから今まで育った人格です。治療とは変化を目指すこと,つまり人格を変えるとはどういうことなのか,パーソナリティ障害を通じて,改めて臨床ということについて考えさせられます。

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